萩の火山と農産物
溶岩が流れてできた平らな台地
約40万年前の噴火でできた山口県阿武町の伊良尾山は、大量の溶岩(玄武岩)を流しました。溶岩流は谷を埋めるように流れて冷え固まり、多角柱状の割れ目ができました(柱状節理)。畳ヶ淵では河床に柱状節理が広がっています。
小さな火山の大家族
伊良尾山と同様の小型火山が萩市と阿武町の約50ヶ所に分布しています(阿武火山群)。特に溶岩台地はその特徴的な地形から、羽賀台、平蕨台、平原台、千石台、平山台など、“台”や“平”という字が地名に多く用いられています。これらは古くから農地として利用されてきました。
農地に適した溶岩台地
溶岩の上は平らで日当たりと水はけが良く、黒ぼく土等の火山性土壌が広がり、野菜や穀物、果物の栽培が盛んです。溶岩や火山灰の地層は水を吸い込みやすく、火山の麓から湧き出すため、稲作も盛んにおこなわれています。
また、山間部に広い平地が少ない山陰地方ですが、火山が川をせき止めることでできた盆地状の開けた土地がいくつも点在しています。昼夜の寒暖差の大きな山間地域で、まとまった平地を確保できるのも、農作物の栽培の利点です。
米、野菜、果物、1年を通して地元産の食材で食事をまかなえるほどに多種多様な萩の農産物は、小さな火山が支えているのです。